自己紹介

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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2012年9月17日

国外デモに悩まされる日本とアメリカ

中国での大規模反日デモが日中関係を悪化させている一方、中東各地で勃発している反米抗議運動が、アメリカ人を震撼させている。

デモのきっかけは、イスラム教の預言者ムハンマドを揶揄したYouTube映像。リビアでは、武装集団がアメリカ領事館を襲撃し、大使を含む四人を殺害した。米国内の世論は、こうしたデモに軍事介入で対抗しようとする強硬論と、協調路線を貫こうとする和平論とにわかれている。

11月に行われる米大統領選挙では、これまで国内経済が主な争点だったが、両候補とも今後の外交政策を軽視できない状況となった。当然ながら、ロムニー共和党候補や保守陣営は、オバマ大統領の軟弱な外交姿勢が、リビアでの襲撃事件につながったと批判している。

しかし、多くの専門家は、両候補の打ち出す外交政策に大きな差はないと見ている。リベラル派の中には、オバマ大統領の軍事活動が強硬すぎると懸念する者すらいる。

クリントン米国務長官は、問題となったYouTubeの映像を「不愉快で非難されるべき」と批判しながらも、表現の自由を侵害するわけにはいかないと述べた。アメリカ社会の根幹にあるこの理念を、中東でデモを行う過激派に理解してもらうのは難しい。文化や価値観の違いが、問題をより複雑にしている。

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