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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2009年8月18日

セイバーメトリクス、新しい野球の見方

現在、米国では、野球のデータを統計学を用いて客観的に分析し、選手の評価や戦略を考えるセイバーメトリクスが認知されるようになってきた。(「スポーツ界にあふれる意味のない数字」

野球をやったことのない統計オタクの言うことなど聞くものかとつっぱねてきた野球人も多かったが、新しいデータ分析を取り入れたチームの成功を見て、ほとんどのメジャーリーグチームが専門家をスタッフに加えるようになった。

マイケル・ルイス著のベストセラー「マネー・ボール」では、従来の野球観に縛られる他チームの経営につけ込み、セイバーメトリクスに基づいて、過小評価されている選手をかき集めたアスレチックスの運営を描いている。スポーツ書としてだけでなく、ビジネス書としても読みごたえがある。

セイバーメトリクスに関しての詳しい説明は、専門のサイトに任せるとして、米国では一般人が独自の分析ができるほど、メジャーリーグに関してのデータが豊富に出回っている。そしてそのほとんどが、今やインターネットで瞬時に手に入る。

有名なのはBaseball-Reference.com。説明するのが面倒なくらい、とにかくメジャーリーグに関するあらゆる情報が詰まっている。プロチームも利用するというこのサイトは、過去やマイナーリーグの記録も網羅している。ためしに「Ichiro Suzuki」と入力して、検索してみてほしい。

(Baseball-Reference.comより)

そのBaseball-Reference.comにひけをとらないのがFanGraphs。ここはセイバーメトリクスに特化しており、Baseball-Referenceで手に入らない独自のデータも手に入る。面白いのが、守備を数値化したUZR。ちゃんと守備範囲と肩の強さも考慮されている。これまで守備がうまいとされてきた選手が、果たして客観的にそうなのか確認できる。英語が得意ならば、専門家による分析も読むことができる。

(FanGraphsより)

圧巻なのはBrooksBaseball.net。なんとメジャーリーグの全ての試合の、全ての投球を分析している。ピッチャーがどの位置で球をリリースし、どこに投げたか、変化球がどれだけ変化したかということが分かってしまう。専門家じゃなければ理解できないようなグラフも表示される。

(BrooksBaseball.netより)

現在、サンフランシスコ・ジャイアンツは、フィールド上のあらゆる動きをデータ化できるビデオシステムを試験導入しているという。これによって、選手の評価はますますコンピュータにゆだねることになりそうだ。

また米国では、こうした専門データサイトに行かずとも、メジャーリーグの公式サイト、ESPNやYahoo!のような大手メディアサイトに行けば、一般のファンが必要とする情報は簡単に入手できる。それに比べて、日本のプロ野球はデータ面の充実度があまりに乏しい。数字が全てと言うわけではないが、ファンにまた違った野球の楽しみ方を提供するというのも、サービスの一つではないか。

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