日本だけでなく、世界を震撼させた東日本大震災。米国の主なネットワークは、地震の発生以来、津波の被害や福島原発の動向を、一日中トップニュースで流し続けている。
CNNやFox Newsといったケーブルニュース局のセンセーショナルな報道のせいで、日本人以上に恐怖におびえているアメリカ人も少なくない。日本から放射線が迫ってくるのではないかと心配して、抗放射線薬「ヨウ化カリウム」を買いあさる人々に対して、サンバーナディーノ郡は、
パニックにならないよう呼びかけた。
ボクもこっちにいると、インターネットがあるとはいえ、実際の状況を判断しづらいので、不安が助長されてしまう。大地震の当日は、なかなか家族に電話がつながらなくて、不安に駆られたけど、しばらくたって無事を知らせるメールが届いた。その家族からのメールをもとに、翌日は
新聞にコラムを書いた。
日本に対して、国際社会の温かいサポートが寄せられているようだけど、こっちにいるとそれを肌で実感できる。ニュースを見たという友達や、コラムを呼んだ人々から、心配や励ましのメールが次々と送られてきた。
コラムの掲載された土曜日には、ボクのオフィス電話が鳴りっぱなしだったと、出勤した同僚が教えてくれた。週明けに裁判所に行くと、知り合いがみんな深刻な表情でボクに近づいてきて、ボクや家族が大丈夫かと尋ねてきた。
ほとんどのアメリカ人が日本の地理状況をつかめていないから、東京でも宮城や福島と同じような被害があると思ってしまうのかもしれない。
今回の大地震で、
米メディアの手薄な対日取材体制が浮き彫りになったという記事を読んだ。地震から数日後には、アンダーソン・クーパーをはじめとする、各局のトップキャスターが日本入りしたけれど、発生直後はNHKの映像や日本との音声のやりとりを垂れ流しにする、お粗末な報道だった。日本に常駐の特派員を置くテレビ局や新聞社は今やほとんどない。
こっちで報道に関わる者として、米メディアの間で日本の扱いが、中国や朝鮮半島に比べて低くなってきていることは否めない。今回の大震災を乗り越えることで、日本の強さや魅力を世界に今一度アピールできることを願っている。