米国では新聞業界の衰退にともない、どの新聞も経費削減に躍起になっている。その大きな犠牲となっているのが、海外支局だ。インターネットに情報がありふれている今、どこの新聞も差別化を図ろうと、ローカルな報道に人材や資金を注いでいる。
アメリカン・ジャーナリズム・レビュー誌によると、1998年以降、20社が海外から完全撤退し、去年の七月時点で海外に支局を置いている米紙は11社のみ。2003年には300人以上いた特派員も、今や契約記者を含めても234人しかいない。アメリカで4番目に発行部数の多いロサンゼルスタイムズは、2003年の23支局から13にまで減っている。
東京にオフィスを構えているのは、ニューヨークタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、そしてワシントンポストだけというのだから、アメリカで日本の存在感が薄くなっているのも納得だ。
それに加えて、新聞やテレビでの国外ニュースの取り扱い自体も減少している。冷戦終結以後からその傾向は始まり、9/11テロで一時は増加したものの、再下降し始めている。
インターネットでグローバル化が急速に進む中、メディアのローカル化は、アメリカに根強く残る孤立主義にどう影響を及ぼすのだろうか。