大辞泉では、「冷たい石の上でも3年も座り続けていれば暖まってくる。がまん強く辛抱すれば必ず成功することのたとえ」だと紹介されている。
これって、冷たい石の上に3年も座っていたら、いつの間にか居心地がよくなって、別の場所に移る気力がなくなるってことにもとれる。
草むしり文化は、人をコントロールしなきゃならない企業や政府にとって都合のよい価値観である一方、実は我慢を実践する人にも、proactiveな決断から逃れる言い訳に使えてしまう。
米地方新聞社で10年間働いたジャーナリストが、現地の人でも知らないアメリカ事情を紹介。プロアスリートや科学者、政治家、ギャング、殺人犯など数千人ものアメリカ人にインタビューをしてきた経験をもとに、英語コミュニケーションのコツも伝授します。
多くの国では、「好きなことだけをやって生きていけたらすばらしい!」というのが一般的な感覚です。ところが日本には、「やりたいことだけをやる」生き方を「わがまま」とか「不道徳なこと」とネガティブにとらえる社会通念があるのです。そして「人間は我慢が大事」とか、「好きなことしかやらないような奴は、人間ができてない」とさえ言われます。
こんな考えがあるかぎり、日本がシリコンバレーみたいになることはありえないでしょう。「嫌なことでも我慢すること」が「社会的に優れた資質」と見なされるような社会では、「自由に好きなことを追求しよう!」「くだらないことに耐え忍ぶのは人生の無駄だ!」という価値観を持つ人はアウトローであり、時には反逆者扱いされてしまうのですから。
(連載「ちきりんの"社会派"で行こう!:日本に起業家が少ない理由」