近くの高校に出向いて、ティーネイジャー間のドメスティック・バイオレンス(DV)について学生たちの本音を聞いてきた。二年前に、被害者にインタビューしてDV関連の記事を何本か書いたのがきっかけで、地元の非営利団体とつながりができ、先週も被害者を保護するシェルターを訪れた。
日本ではDVが家庭内暴力と訳されることからも、夫婦間の問題だと考える人が多いが、恋人間でも同じような虐待は起こる。DVでは、一方が相手を独占したいという気持ちを愛情として押し付けることで、パートナーを支配しようとする。恋人が異性と仲良く話しているのを見て嫉妬し、やめるように促したり、暴力を振るったりするのはその典型だ。ありのままの相手を尊重し合える関係が健常なのだと、DVのカウンセラーはいう。
初めてこの問題を取材した時、自分にも加害者行動で思い当たるふしがあり、罪悪感が湧いた。でも問題に気づけたことは、その後の恋愛に役立った。気づき(英語ではawareness) 、そして素直に認めることが問題解決の出発点だ。
今朝の取材では、高校生たちと椅子を円に並べて座り、ディスカッションを行った。
アメリカ人のティーネイジャーたちは、日本人の同世代に比べて、恋愛観が発達している。もちろん個人差はある。それでも、多くの学生は自分たちの恋愛感情や関係を、親や友達にオープンに話す。校内を見渡しても、あちこちでカップルが手をつないだり、キスをしたりしている。ボディーランゲージや言葉で感情をストレートに表現して、たくさんの恋愛を重ねることで成長するのだろう。
今回のディスカッションに参加してくれたクラスでは、「I love you」を意味する手話を使って、クラスメートに「あなたのことを想っています」と伝える決まりになっている。恥ずかしそうに自分の恋愛の失敗談について話す男の子に、クラスメートたちが手話サインを送って励ます光景は、まるで映画のワンシーンだった。
好きな人に愛情を伝えることの大切さを、アメリカで暮らすうちに学んだ。