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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2009年10月28日

男女という壁を越えるには

社会進出における性別格差の度合いを評価した「男女格差指数」が発表され、日本は依然75位と先進7カ国中で最下位だった。同じリストで31位と、決して先進国中では上位とはいえない米国に住んでいても、その差は日々感じられる。

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デューク大学に交換留学した時、まず新鮮に感じたのが、大学の学長から留学センター長に及ぶまでトップの地位が女性で占められていたこと。それまで日本で通っていた学校や働いていた職場では、女性がマネジメント職についているのをほとんど見たことがなかった。

テネシー大学の体育会で働いていた時も、自分の直属の上司が女性であったのだが、慣れないことに当初は違和感を感じた。恥ずかしいことに、男性は女性をリードすべき存在という価値観が知らず知らずのうちに染み付いていたのだ。こっちでの生活が長くなるにつれ、ようやくそうした呪縛から解放されるようになった。今では上司が男性か女性かなどということはほとんど意識しない。

日本でも徐々に女性の社会進出が広まっていることは確かである。実際、ランキングも前年の98位から大きく上がっている。「女性幹部の登用」で6位というのにも正直驚いた。しかし、社会制度や個々の意識という点では未だに遅れているといわざるをえない。

例えば男女が結婚する際、働き続けたいという女性の意志があっても、日本の場合は状況がそれを許さないことも多い。会社が夫に転勤を命じれば、妻は自分のキャリアを諦めてそれについていくしかない。ボクの周りでも、結婚した有能な女友達が、夫の都合に合わせるため退職しているという話を耳にする。

それに対しアメリカ人の若い夫婦やカップルは、ともに働くことのできる道を模索するケースが多いように思う。卒業して教授職に就いたボクの大学院時代の友達は奥さんと一緒に引越し、奥さんもその地域ですぐに中学校の教職に就いた。弁護士の奥さんを持つ別の男友達は、彼女のキャリアを応援するため、ようやくありついたスポーツマーケティングの仕事を諦めて、彼女の赴任地で再び就職活動を行った。

結婚というのは何も男子が女子を養うわけではないはずだが、日本では残念ながら社会や企業のシステムがその傾向を助長している。アメリカに暮らして数年、最近では結婚を一方的な扶養関係ではなく、対等なパートナー関係として見るようになった。

女性の社会進出を含め、男女平等を実現するには、まずは「男だから」「女だから」という認識を排除することから始めなくてはならない。男だから運転席に座るのが当たり前、女だから威厳に欠けるなどという発想がはびこっているうちはまだまだである。仕事関係であれ、恋愛関係であれ、男性は女性を異性としてみる前に、一人の人間として見ることが大切なのではないか。

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