自己紹介

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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2010年12月3日

大統領の2倍の給与をもらう市職員

仕事後に、ジャーナリスト協会ロサンゼルス支部主催の講演を聴きに行ってきた。オフィスからダウンタウンまで1時間半近くかかるので、普段はなかなか出席できないのだが、今回は全米で話題になっているベル市職員の高給与問題をすっぱ抜いた記者が話すというので、チャンスを逃すわけにはいかない。

ベル市はロサンゼルス郡にある、人口4万人弱の小さな町。住民の四分の一が食料の無料配給を受ける、とても貧しい自治体である。そこの職員たちが、日本円にして数千万円もの給与を受け取っていることが分かったものだから、不景気に苦しむ国民は怒り心頭。

同市の総務責任者であるロバート・リゾーは、オバマ大統領の2倍近い78万ドル(約6700万円)もの給与を受け取っていた。リゾーは以前、ハイデザートのヒスペリア市で責任者を務めていたので、うちの新聞でも大きく取り上げた。

これをスクープしたのが、ロサンゼルスタイムズのジェフ・ゴットリーブとルーベン・バイブという記者で、今回の講演ではゴットリーブ氏が取材の経緯を語ってくれた。ロサンゼルスタイムズ本社の近くにあるバーには、南カリフォルニアで活動するジャーナリストが10人程集まって、ゴットリーブ氏を囲んだ。

他の参加者たちは、ほとんどがベテラン記者で、たぶん僕らが最も若かっただろう。小さな町に住んでいると、他のジャーナリストとの交流の機会があまりないので、こういう場は貴重である。

ゴットリーブ氏いわく、今回の事件にはウォーターゲートのような秘密の情報源がいたわけではないらしい。これまで他のジャーナリストや市民があまり注意を払っていなかった問題を、正攻法で調べあげたことが成果につながったという。基本に忠実であることの大切さはアスリートだけでなく、記者にもあてはまる。

6月に掲載されたゴットリーブ氏の調査記事をきっかけに、全米のメディアがいっせいに地元の公務員の給与を報道し始め、更には現職政治家に対する国民の目が一層厳しくなった。ベル市に関する一連の報道が、11月の中間選挙に少なからず影響を与えたことは間違いない。

ボクもいつか、読者のものの見方を変えてしまうくらいインパクトのある記事を書いてみたい。

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