上院では民主党が議席を伸ばしたものの、下院では共和党が過半数以上を維持したため、結果としてはねじれ議会の現状が維持された。オバマ大統領が、二期目にどれだけ議会の協力を得られるかに注目が集まる。
今回の米大統領選挙で感じたのが、選挙人口構成の変化である。2000年と2004年にブッシュ大統領を当選させる原動力となったのは、人口の20パーセントを占めるといわれる保守的キリスト教信者たち(Evangelical Christians)。2010年には、ティーパーティー運動が共和党の下院選挙での勝利に貢献した。
ところが今回の上院選では、共和党の予備選挙で勝利を収めた保守派候補たちが、本選で中道派の投票者に嫌われて、民主党候補に負けてしまうという事態が起こった。経済に関しては、小さな政府を目指す保守派政策が独立派に支持を得られても、中絶や同性愛といった社会問題に関する保守派の主張は、女性や若者から敬遠されてしまう。
それに対して民主党は、ヒスパニックや黒人といった少数派に加え、女性や若い有権者などから幅広い支持を受けた。オバマ陣営は、選挙終了ギリギリまで、投票率が低いと言われる人種マイノリティの多い地区に出向いて投票するように促し続けた。
テレビに映っていたロムニー氏の陣営本部が、お洒落な格好をした白人でいっぱいだったのに対し、オバマ大統領の本部は、多様な人種と年齢層の支持者が入り交じっていた。マイノリティの人口は増える一方だし、有権者の半分以上を占める女性から敬遠されたら話にならない。共和党は、今後いかに支持層を広げられるかが課題である。