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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2012年5月15日

Facebookが切り開く、新コミュニケーション


今日は、Facebookの創始者マーク・ザッカーバーグの28歳の誕生日。Facebookは、金曜日にナスダック証券取引所に上場する予定で、時価総額は1000億ドル(約8兆円)にも達すると言われ、ザッカーバーグの総資産額は180億ドル(約1.4兆円)ということになる。

ボクは、Facebookができて間もない2004年にアカウントを作ったのだが、つい数年前まで、積極的には利用してこなかった。クラスで仲良くなった学生や、旅先で知り合った人と気軽につながりを保てるのは魅力だったが、いかんせんインターフェースの使い勝手が悪く、シンプルなデザインで日記機能が充実したmixiとは対照的だった。

それでもソーシャルメディアは、最後にはユーザー数がモノを言う。当初は、名門大学の学生のみに限られていたFacebookだが、徐々に門戸が開かれ、今や9億人のユーザーを抱える世界最大のソーシャルメディアとなった。日経ビジネスで身売りが報じられたmixiは、会社とユーザーがプライバシーの保護を意識しすぎた結果、ソーシャルメディアの醍醐味である「人とのつながり」が薄れてしまった。

今やアメリカ人にとって、フェースブックはインターネットそのものになりつつある。子どもから大人まで、パソコンやスマートフォンをつけるなり、まずはFacebookを開く。新聞やテレビではなく、Facebookに流れる記事や動画で話題を追い、家族や友だちの近況も、電話などかけずに、つぶやきや写真の一覧でチェック。友だちが結婚すれば、そこに参加する人たちがスマートフォンで写真を掲載するので、すぐにお祝いの言葉をかけられる。子どもや若い人は、Eメールを使わず、Facebookのメッセージ機能でコミュニケーションをとるようになっている。

他のサイトに行っても、Facebookのアカウントを持っていないと、利用できないサービスが増えてきている。例えば、うちの新聞のホームページでは、記事にコメントを投稿するのに、まずはFacebookにログインしなくてはならない。おかげで、匿名での誹謗中傷コメントは劇的に減った。Facebookのアカウントは、ネット上での身分証明になりつつある。

まだまだ使いづらい点の多いFacebookだが、機能だけ見ればより洗練されているグーグルのGoogle+が追いつけないのは、圧倒的なユーザー数の差があるからだろう。たとえGoogle+が機能を充実させても、Facebookはそれを真似ればいいだけ。長距離走で、周回遅れで走るグーグルの真後ろにくっついて走っているようなものである。

日本人ユーザーが増えてきたFacebookでは、自分の書き込みや写真に対して、アメリカ人と日本人の友だちが、異なる言語でコメントを残すことがある。こっちでの同僚や大学院時代の友人と、日本に住む大学・高校時代の同級生が、一つの場に集まってコミュニケーションをとっている光景は、インターネットのない時代を思い出すと、今でも不思議に感じる。

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