自己紹介

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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2011年2月2日

小規模メディアの葛藤

オフィスの留守番電話に、記事への苦情と編集長からの怒りのメッセージをいただき、ちょっと気が滅入った。

記者の仕事に苦情はつきもの。そのほとんどは読者の誤解や偏見の混じった意見なんだけど、時々こっちのミスじゃないかと思わせるような指摘があると、慣れてきたはずの今でも考え込んじゃう。

ジャーナリストの第一の使命は真実を伝えること。信頼されるためには、とにかく情報を正しく伝える必要がある。当たり前のことなんだけど、これがとても難しい。その思いは、むしろ経験を積みにつれて強くなってきている。公文書やデータが揃っているならまだしも、又聞きの話や噂はもちろんのこと、たとえ当事者の発言であってもそれが事実だとは限らない。

うちのような小さい日刊新聞だと、各記者が一日に二つか三つ以上の記事を書かなくちゃならない。予算の削減で、事実チェックを専門に行う校正担当もいなくなり、記事の内容を細かくチェックする余裕なんて正直いってない。それでも毎日、新聞は発行される。

言いたくはないけど、こうした状況で、自分の記事に100パーセントの自信を持つのは難しい。

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