自己紹介

自分の写真
米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2011年2月1日

住宅バブル崩壊の縮図

今朝はビクタービルにケーブルニュース局MSNBCが取材にやってきた。リーマンショックの原因となった米国住宅バブル崩壊の縮図として、ハイデザートを取り上げたのだ。ボクは見逃したけど、お昼に放送された番組で、ボクの書いた記事のデータが使われたらしい。


最近、別の新聞に移ってしまった記者デーブの代わりに、ビジネスも担当するようになった。最初は不動産など全く興味がなかったけど、専門家と話すうちに、住宅問題とハイデザートは切り離せないことが分かった。

投機いわばマネーゲームによって異常なまでに高騰した米国の住宅価格は、2006年あたりピークに達した。穏やかな気候と広大な土地に恵まれたカリフォルニアやネバダ、アリゾナといった南西部の州は、特に急激な成長を遂げた。

ロサンゼルス都市部や海岸部の土地が高くなりすぎて住めなくなった人たちは、徐々に郊外へと移動。サンバーナディーノ郡には次々と新興住宅地が開発された。荒地だった場所が、わずか数年で大規模な住宅街やショッピングモールに変わっていった。

その勢いはサンガブリエル山脈を越えてモハビ砂漠へ。サブプライムローンという、通常の住宅ローン審査にはとても通らないような信用の低い人々に貸し出されたローンのおかげで、ほぼ誰もが家を買えた。銀行はちゃんとしたチェックをせず、借り手の自己申告した所得でローンを貸し出していたという。

南カリフォルニアで最も住宅価格の安かったハイデザートは、サブプライムローンに頼る低所得者がうじゃうじゃ。ハイデザートの都市は、全米でも有数の人口成長率を誇った。

もちろんそんなことが長続きするわけはない。いったん住宅価格が下がると、借り手は高額のローンを払えなくなった。仕方なく銀行は物件を差し押さえにかかったんで、ハイデザートは家を失った人たちであふれかえっている。

新聞やテレビのニュースで、日本でもしょっちゅう取り上げられる米国住宅バブル崩壊。せっかくアメリカに来る人には、ニューヨークやロサンゼルスのような観光地だけではなく、ハイデザートのような土地を訪れて、この国の本当の姿を実感してほしい。


MSNBCのホームページで、今日の番組が視聴できるようになっていたんで貼り付けておく。

このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿