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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2017年1月5日

奥さんに聞きましたアメリカ生活の実態 その1:仕事編

僕は米国生活が15年以上になるので、アメリカについて記事を書くと自然と内部からの視点になりがちです。

そこで今回は、違った視点をお届けするため、アメリカに来て3年半になる僕の奥さんに、こっちの生活についてどう感じているかを聞いてみました。

彼女は入籍してグリーンカードが発行されてから、アメリカに引っ越してきました。それまでアメリカには飛行機の乗り継ぎでしか来たことがないとのこと。

人生のほとんどを日本で過ごし、日本社会で9年ほど働いた経験をもとに語ってくれました。


トモヤ:アメリカには観光でも来たことなかったんだよね?

奥さん:ロサンゼルスの空港でトランジットしたくらい、南米に行くときに。

トモヤ:それまでのアメリカの印象は?

奥さん:なんか観光地としては魅力がないとか、広大な自然があるとか、あとは経済大国のイメージかな。あとはなんか、白人の国というか。

トモヤ:観光地としては魅力がないんだ。

奥さん:私旅行会社に勤めてたけど、あんまりアメリカ人気なかったし。唯一人気だったのが、国立公園の旅だけど、歴史的建造物とかあんまりないし、そういう意味でヨーロッパやアジアと比べて、観光地としての魅力が低いかなと思ってた。

トモヤ:でもアメリカに移住することに躊躇はなかったよね。

奥さん:もともと海外好きだし、一回海外に住んでみたいってのもあったから。アメリカなんて住みやすい代表みたいなとこだし。

トモヤ:そういう印象があったんだ。

奥さん:うん、日本はもちろん安全だけど、アメリカは他の発展途上国とかよりずっとちゃんとしてるイメージあったし、住むには全く不安なかったね。

トモヤ:それでこっちに来て、最初は仕事がなかったから、家にいたんだけど、でもすぐに働きたいとは思ってたんだよね。

奥さん:思ってた。まず家でたぶん2週間くらい引きこもってたんだけど、ドラクエを2シリーズクリアするくらい暇で、なんかお金を消費するだけの存在ってのが耐えられなかったんだよね。だから、自分でちゃんとお金を稼がないとストレスになると思って、早く働きたかった。

トモヤ:運よく(オレンジ郡に)日本で働いていた会社の支社があったんだよね。

奥さん:それがあったのは知ってたんだけど、トランスファーって形にはできないから現地で聞いてみてって言われてて。それで幸い私を日本で雇ってくれた人がその時アメリカ支社にいたから、面接を設定してくれて、とりあえずバイトからでいいならってことで入れてもらいました。

トモヤ:でもそっから2ヶ月くらいで正社員になった。

奥さん:頑張ったから?(笑)。まあバイトは試用期間みたいなものだったんだと思う。

トモヤ:日本の会社の支社だけど、働いている人はほとんどアメリカ人なんだよね?

奥さん:駐在で10名くらい来てて、あとはみんな現地の人。ちょうど運が良くて、一人社員の日本人の方が日本に帰国するってタイミングで、その人の仕事を引き継ぐ人が必要だったから、まあめでたく。

トモヤ:アメリカでも色々な会社があるけど、働いてみて最初の感触は?

奥さん:最初はまず英語が全然聞き取れなかった。

トモヤ:でも日本では多少なりとも英語を使って仕事はしてたんだよね?

奥さん:やっぱり現地の癖みたいなのに慣れてないんだと思う。速さとか表現とか。それは2ヶ月くらいしたら慣れた。

トモヤ:不安は感じた?

奥さん:すっごく不安だったよ。だからとりあえずやれることはやろうと思って。その引き継ぎしたものはかっちりやるようにして。英語が多少できなかったとしても、エクセルに強ければできる仕事だったし。

トモヤ:日本でやってたことが活きたってこと?

奥さん:そうだね、エクセルの知識があったから。特にうちの会社のセールスの人はそういうのが弱かったんだよね。エクセル使うこととか、データを使うことが弱かったから、私の存在意義があった。

トモヤ:スキルを持ってるって、こっちで仕事をする上で違うと思う?

奥さん:スキルがないと無理だと思う。英語ができるのは大前提だし、他の言語が役立たないから、日本語ができても雇ってもらえるのは例えば日本料理店とかだと思うから、あんまり言語ってスキルにならないんだよね。

トモヤ:今の会社も日本語が使えるってだけじゃ無理?

奥さん:うん。多少プラスになるかもしれないけど、日本人向けの商売じゃなくてアメリカ人向けの商売だから。

トモヤ:日本ではこれまで3つの会社で働いたことがあるんだよね。アメリカの会社で働いて見て驚いたことは?

奥さん:みんなささっと帰るというか、割り切ってる感はある。仕事は仕事で、プライベートを大事にすることが当たり前になってる。日本だと、それよりも仕事を優先しないといけない雰囲気があった。こっちでは、そういうのはない。5時くらいから人がどんどん減って、6時には誰もいない。うちの会社でも6時過ぎても残ってるのは日本人だけだし。日本人は逆に残る癖があるのかも。

トモヤ:アメリカは結構朝が早いよね。

奥さん:それは思った。日本って結構9時半とかに駆け込んできたりするけど、アメリカは8時くらいから働いてる人がいる。

トモヤ:他に何か違いは?

奥さん:あとは年齢を気にしない。そもそもみんなの年齢わからないし。ポジションも別に年齢と関係ないから。言語も相手の年齢によって変わらないし。日本って年齢が上だと敬語で、下だとタメ語使う人とか多いけど、そういうのはない。

トモヤ:もうこれは好みだと思うけど、アメリカの職場文化はどう思う?

奥さん:私は楽だよ。その人の実力があれば上に行くし、なければ下がる。シンプルでいい。

トモヤ:帰宅時間が早いのは?

奥さん:やることやってればいいと思う。やることをやらずに帰宅だけ早いのはどうかと思うけど、やることやってきちっと帰る人はむしろすごいなと思う。

トモヤ:日本にいる時よりずっと早く帰れてるよね。

奥さん:うん。それは有難い。バランスが取れる。色々仕事後できるし。

トモヤ:日本にいた時は仕事後にプライベートな時間はとれなかったの?

奥さん:忙しい職場だったってのもあるけど、まあ飲むくらいかな。飲むのは日本の方がよくしてた。アメリカはみんな残ってないし。飲む時はパーティーやりますよって前もって約束するけど、日本は「今日一杯やってく?」みたいに当日決まったりする。だからほぼ毎日外食だった。

トモヤ:日本にいた時よりも通勤は楽?今は車で15分くらいだよね。

奥さん:楽、楽!だって満員電車に乗らなくていいんだもん。満員電車は私の中でストレスが5割増す。

トモヤ:アメリカで働きたい人にアドバイスはある?

奥さん:こっちは育てるという文化がない。日本は新卒制度があって、入ってから研修とか、入ってからその道のスペシャリストになるっていう考え方があるけど、こっちは実力勝負で、その職に就きたいんだったら、その職がすぐにできる技術を身につけてないと雇ってもらえない。だから、大学卒業した人たちは、そのスキルでできる簡単なセールスとか、そっから始めてくんだよね。それで内部のプロモーションを狙ったりとか、その間に資格を取ったりするんだけど、もしこっちで働きたいんだったら、仕事で即戦力になれるスキルや知識を身につけてないと厳しいと思う。

トモヤ:俺もこっちで就職活動をして、自分で何かアクションを起こさないといけないと学んだ。ただレールに乗ってくのは難しいよね。

奥さん:難しい。だからとりあえず入ったら安泰ってことはない。クビにもなるし。

トモヤ:普通にリストラもあるし。入ってそのままただ勤めてれば上にあがれるってことはない。内部でも自分からどんどんアピールしていかないと上には上がれないし。自分でスキルを身につけて変わっていかなきゃいけないよね。人もどんどん辞めていくし。

奥さん:すっごい入れ替わり激しい。

トモヤ:自由なぶん、日本よりもシビアだよね。

奥さん:かなりシビア。自分に実力がなかったら上にはあがれないし。

トモヤ:そこは向き不向きあるよね。

奥さん:日本はクビの心配ないし、育ててくれるから、そういう意味では安心できる環境にいたい人は日本の方がいいかも。

トモヤ:自由と責任のバランスだね。

暮らし編に続きます。

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