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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2017年1月21日

3分で分かるトランプ大統領就任

ついにドナルド・トランプ氏が米大統領に就任しました。

一年半前に彼が大統領選出馬を表明した時に、この日が来ることを予想した人は、ほとんどいなかったはず。これまでの大統領就任式と違い、今日はトランプ氏がどんな発言をするのだろうか、何か起きるのではないかとハラハラしながら見ていました。

果たしてこれからアメリカがどうなっていくのか、日本でも気になる人は多いと思います。そこで今日の就任式から見えたトランプ政権の姿と米国民の反応を内部の視点から紹介します。

アメリカ優先を強調した就任演説

分かりやすいけど具体性に欠けるというトランプ節が炸裂したスピーチでした。知識層は稚拙と感じるかもしれませんが、選挙で彼を支持した人々の心には響くメッセージが盛り込まれていました。

要約すると、「アメリカは仕事を海外に取られ、教育も崩壊し、犯罪や麻薬に苦しんでいる。それはワシントンの政治家が国民よりも自分たちや他国の利益を優先してきたから。私はアメリカの利益を最優先する。つまり、これまで忘れ去られてきたあなたたち国民が政治の主役になるということだ」という感じです。

オバマ政権下でアメリカ経済回復の恩恵を受けられなかった人々は、その怒りの矛先を政府や移民などに向けました(詳しくは時事通信に寄稿した記事で説明してます)。トランプ氏は選挙中だけでなく、就任式でもそうした層にアピールしたのです。

メディアの反応は?

選挙中には、トランプ氏の過激な発言に振り回されている感のあったアメリカの現地メディア。

今回の就任演説に関しては、暗くて攻撃的なネガティブな内容だったとの報道が目立ちました。特に、トランプ氏が近くにも座っていたワシントンの政治家たちを真っ向から否定したことには驚いたようです。

これからより一層、メディアがトランプ大統領の一挙一動に厳しい目を向けていくことは間違いありません。マスコミをけなすことで人気を得てきたトランプ大統領とメディアの関係がどうなっていくのか、私もジャーナリストの一員として注目しています。

市民の反応は?

トランプ氏を支持しているか、そうでないかで、今日という日の見え方が正反対だったということがフェイスブックのフィードから伝わってきました。

彼の支持者にとっては、これから4年間への希望に満ち溢れた就任式だったに違いありません。オレンジ郡でも、トランプ支持者たちが集まって就任式視聴パーティーを開いていました。そこでは、トランプ氏の経済政策と不法移民取り締まりの強化に期待する声が聞かれます。

逆にトランプ氏に反対する人々にとっては、おぞましさを感じる一日となりました。とんでもない人が大統領になってしまったという恐怖を感じた人々が、各地で抗議デモに参加。彼らは、移民への規制が厳しくなるのではないか、ムスリムやヒスパニック、黒人などへの差別が悪化するのではないか、環境規制が撤廃されてしまうのではないかと心配しているのです。

明日は、女性蔑視やマイノリティ差別への抗議を掲げ、トランプ大統領に反対する人々による大規模な「女性の行進」が全米各地で行われます。

これからどうなる?

これまで発言をコロコロ変えたり、具体的な政策案を示してこなかったトランプ氏。彼が大統領になって実際に何をするのか、(もしかしたら本人も含めて)誰も分かっていません。

就任直後にオバマケア(医療保険制度改革法)を見直す大統領令を出したところを見ると、ある程度は公約通りに物事を進めそうです。刷新されたホワイトハウスのホームページに載せられた政策からもそれは伝わってきます。上・下両院を共和党が押さえているため、やる気さえあれば、かなり早いペースで物事が進むかもしれません。

日本との関係も変わることが予想されますので、これからの動向から目が離せません。

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