自己紹介

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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2010年2月27日

裁判担当記者の辛いところ

悲しいことに、ハイデザートは殺人や強盗、ギャング関連の裁判には事欠かない。

人口の急増とともに治安も悪化し、ビクタービルの凶悪犯罪率はロサンゼルスを上回る。地元の裁判所はまるで犯罪のデパートだ。

昨日・今日は、二人組みによる酒屋への強盗未遂の裁判を取材。普通なら強盗未遂くらいでは大きな記事にはならないのだが、この事件では以前シリアの警官だったという店員がカウンターの下から拳銃を取り出し、強盗犯に発砲して追い払ったため、わざわざ裁判を傍聴しに行った。被告人の一人は腕とお尻に弾が命中して怪我を負い、腕にギプスをして出廷していた。

もう一人の被告人は、銃器を所持していなかったということで、懲役16ヶ月と比較的軽い刑が言い渡されたのだが、同時に以前起こした未成年との性行為に対しても刑が宣告されてしまった。年下の彼女と同意の上だったようだが、カリフォルニア州では18歳未満との性行為は法律で堅く禁じられている。弁護人の話では、犯人は法定強姦をとても恥じていたようだが、強盗未遂事件と同時に刑が言い渡されたため、新聞にでかでかと報じられることとなってしまった。

運悪くもボクの後ろの席に、この犯人の母親が座っていて、息子の事件を嗅ぎまわっているボクに対して何かと警戒心を示してきた。ただでさえ息子が刑務所に入るのを悲しんでいるのに、新聞に大きく名前と犯行が載るのは辛いことである。かといってボクも事実を書かないわけにはいかないので、毅然とした態度をとった。

裁判担当の仕事が、既に懲役という社会的制裁を受けている者に、更なる公開処罰を与えているのではないかと、ふと疑問に思うことがある。取材した裁判の犯人が服役を終えて出てきた時に、ボクのことをどういう目で見るのかちょっと気になる。

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