自己紹介

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米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点に、英語と日本語の両方で記事を書く数少ないジャーナリスト。 アメリカの現地新聞社で、政治や経済、司法、スポーツなどあらゆる分野の記事を取材・執筆。 2012年には、住宅バブル崩壊が南カリフォルニア住民に与えた影響を調査した記事で、カリフォルニア新聞経営者協会の経済報道賞を受賞。2017年には、ディズニーや開発業者が行った政治献金を明るみに出した記事で、オレンジ郡記者団協会の調査報道賞を受賞。 大谷翔平の大リーグ移籍後は、米メディアで唯一の日本人番記者を務める。

2011年1月26日

暴行犯にインタビュー

風邪と熱で頭が働かない中、暴行事件の審理を取材。タイレノールで熱は下がったけど、裁判所にいる間、ずっとボーッとしてた。

事件は、二週間前に二人の男が、被害者をバットでめった打ちにしたというもの。検察側が証拠を提示する日だったんだけど、その前に司法取引が成立してあっけなく幕引き。この程度の事件だと、検察や弁護人だけじゃなく、判事も取引で片づけたいというのが本音。

被害者のガールフレンドに話しかけると、どうやら三角関係が原因らしい。その女性は被告人の別居中の妻で、被告人は妻が浮気したのにキレて、被害者宅に押しかけた。

口論が殴り合いに発展。負けそうになった被告人を助けに、もう一人の男がバットを持って乱入。形成逆転した夫は、被害者にチョークホールドをかけ、もう一人がバットで殴り続けた。嫉妬は恐ろしい。

夫とその友人にはそれぞれ180日と270日の禁固刑が言い渡される。しかもストライクのおまけ付き。カリフォルニアでは、凶悪な犯行でストライクをもらうと、次に重罪を犯した時に刑が2倍になってしまう。ツーストライクで重罪を犯すと自動的に最低25年以上の不定期刑に処される。これをThree Strikes Law(スリーストライク法)という。

一方的な報道はしたくないんで、被告人である夫にも話を聞くことに。相手は一時の怒りで人を殺しかけた男。嫌な仕事である。

法廷の外で自己紹介すると、逮捕時の記事を読んだと言う。話しながら落ち着かないトラのように、ボクの前を行き来し、しかも微妙に口もとが震えているではないか。

やばい、しかも背が高い。思い込みのせいか、キレたら暴走するタイプにしか見えない。優しい顔とのギャップが恐怖を増幅させる。ピッコロ大魔王にインタビューする、天下一武道会のアナウンサー気分だ。

相手は被害者にやられかけた程度のやつだと自分に言い聞かせ、平静を装って質問を続けた。事件については話したくないみたいで、妻のことを今でも想っている様子。可哀想にすら思えてきた。妻の悪口を言い始めた付き添いの家族をとがめるなど、実はいいヤツだった。

早く立ち直って欲しい。

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